2018年09月30日

【レポート】かわさきジャズアカデミー第2回 斉田佳子さん

 『かわさきジャズ2018』の開催を前に、全5回にわたって開催される[かわさきジャズアカデミー]。ジャズに造詣の深い著名人や実際にかわさきジャズ本編に出演するアーティストが講師となり、2時間たっぷりと1つのテーマに基づきジャズをレクチャーしてくれる、毎年大人気のプレ企画です。

 この日の講師は『かわさきジャズ2018』への出演が控えるボーカリスト、斉田佳子さん。講義のテーマは「今日からあなたもジャズシンガー」です。

photo.JPG

 自身のバイオグラフィーを辿りながら講義を進めていく斉田先生。はじめて鍵盤に触れた時、プロのミュージシャンになると決意した時、ピンクレディに扮して人前で歌声を披露した時など、幼少時代のエピソードを当時の秘蔵写真とともに紹介していきます。

photo1.JPG

 小学生のときから声が低く、学校唱歌はキーが合わなかったという斉田先生。しかし、“女性ジャズ・ヴォーカリスト御三家”の1人であるサラ・ヴォーンの歌声に衝撃と感銘を受け、ジャズシンガーに憧れを抱くようになったそう。その後、本格的に音楽を学ぶため、名門バークリー音楽大学に入学。当初は言葉の問題などもありピアノ専攻だったものの、3年目にはボーカル科に変更し、同大学の生徒たちとのセッションをおこなうようになったそうです。

ここで斉田先生からクイズが。「ボーカル科の学生は、なかなかセッションに誘ってもらえない…その理由とは?」

photo2.JPG

正解は…
同じ曲でもボーカリストの譜面はキーが違う、ボーカルが書く譜面は見づらい、イントロを考えるのが大変!など、たくさんの理由があるそうですが、もっとも大きな理由は「ジャズ・ミュージシャンはアドリブを永遠に演奏するのが大好き!そもそもボーカルありのセッションに興味がない」こと。そんな状況でも、斉田先生はコミュニケーション能力と鈍感力を身に付け、ボーカリストとしてたくさんのセッションに参加し、スキルを磨いたのです。

 続いて、講義はその「スキル」の話題に。ボーカリストとしてイントロの間にどのような準備をおこなうか、また、歌い終わりにはどのようなアレンジが有効か、などを実演を交えながら紹介・解説。ギタリストの平岡遊一郎氏の伴奏のもと「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」を例に、バラードやボサ・ノヴァ・バージョン、また、スキャットやモチーフを繰り返す応用編、人力フェイドアウトなどを即興で披露してくださいました。

photo3.JPG

 そのほか、ニューヨークでのレコーディング秘話や、“巨匠”と言われるミュージシャンが生み出す「音」の違い、ビル・エヴァンスやジャコ・パストリアスなど多くの巨匠たちと共演を重ねた名ハーモニカ奏者/ギタリストのトゥーツ・シールマンスとのレコーディング秘話なども飛び出しました。また、自身がジャズに取り憑かれた理由について「声質やキーが変わっても、いくつになっても、気持ちを込めて歌える」と改めてその魅力を語りました。

photo4.JPG

 休憩をはさみ、後半はお待ちかねのミニライブ。バークリー時代に書いたという譜面とスウィング・アレンジで披露された「枯葉」に続き、「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」と、この日の講義の中でも“教材”として使われたジャズ・スタンダードをギタリストの平岡氏とともに披露。

photo5.JPG

 受講されたみなさんは斉田さんのスモーキーで情感溢れる歌声にうっとり。そして、ミニライブのラストはトゥーツ・シールマンスとの共演が実現したオリジナル曲「オール・ザ・ウェイ」。その芳醇な歌声は、斉田さんがボーカリストとして積み上げてきた、あらゆる経験によって作られたもの、まさに「人生」そのものであると感じさせてくれる、とても温かくて素敵なパフォーマンスでした。

 技術面だけでなく、ボーカリストとしての苦悩や処世術などを包み隠さず語る姿が印象的だった斉田さん。「今日からあなたもジャズシンガー」…とまでは言えないものの、その知られざる「裏側」を少しだけ覗き見られた講義となりました。

 次回のかわさきジャズアカデミーは10月5日、昭和音楽大学、YAMAHA音楽院の講師も務めるギタリスト、梶原順さんによる「Jazz Meets Pops〜ポピュラーソングの中にジャズが見え隠れ・・・〜」です。お楽しみに!

★斉田佳子さん出演!!
『かわさきジャズ2018』
Jazz Bar Cinema Jazz Paradise 〜 映画音楽ジャズ特集
日時:2018年11月9日(金)18:30開演
会場:新百合トウェンティワンホール 会場アクセス 
出演:
宮本貴奈トリオ/宮本貴奈 (Pf)、楠井五月 (B)、大坂昌彦 (Ds)
feat.斉田佳子 (Vo) & TOKU (Vo&Flugelhorn)
スペシャルゲスト:日野皓正 (Tp)
チケット:テーブル席4,500円(1ドリンク付き)階段席3,500円
⇒公演詳細はこちら

かわさきジャズ2018
会期:2018年11月8日(木)〜11月18日(日)
https://www.kawasakijazz.jp
posted by かわさきジャズ at 10:38| Comment(0) | レポート